HHKB Professional 2 Type-S&BT 同時レビュー「元2トップは一長一短」

Madanai
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2019年に最新モデルが発売されたHHKB。このアップデートによってしっかりとヒエラルキーが作られたが、それまではさまざまなラインナップが乱立していた。特に2016年にProfessional BTが登場したことによって、2種類のHHKBが同時に最高級モデルとしてラインナップされる珍事となった。今回は、その2種類である、Professional 2 Type-SとProfessional BTの長期レビューを行う。

※画像は後々掲載します

  1. 僕がどのようにこのキーボードにたどり着いたか
    1. 今回レビューするHHKBのモデル
  2. HHKB共通のメリット
    1. US変態配列
    2. ホームポジションから手を動かすというキーボードの概念を破壊する
    3. Apple製品との相性は最高クラス
    4. UMOUBUTON
    5. Macにも劣らぬルックス。最強。
    6. HHKBシリーズ自体のコスパは恐ろしく良い
    7. 長時間の高速打鍵は癖になる気持ち良さ
    8. 当たり前だが全然疲れない
    9. 静電容量無節点方式の独特な打鍵音
    10. 60%キーボードの軽量さ
    11. 究極の理念
    12. アクセサリーが充実している
    13. 疲れてる時に指を抱きしめてくれる
  3. HHKB共通のデメリット
    1. US変態配列 JIS配列も含め慣れるまでかなり時間がかかる
    2. 無印iPad並みの価格
    3. Magic Keyboard等のパンタグラフ式モバイル特化キーボードと比べると重いしデカい
    4. 無刻印モデルには、タッチタイピングだけではなく勘も必要かも
    5. パームレスト必須
    6. REALFORCEとコラボもしているのだから、、、
    7. 中毒性が高すぎてストレスになる場合がある
    8. 100%の確率で沼に投げられる
    9. わずかに黄ばんできている?
    10. 振動対策は必須
  4. Pro 2 Type-Sのみ該当のメリット
    1. 静音モデルは最高に静か
    2. USB-Aポートが2つある
  5. Pro 2 Type-Sのみ該当のデメリット
    1. 裏面のゴム面積が小さすぎる
    2. 吸振マットとパームレスト必須
    3. 静かな場所で本当の実力を発揮できる静音モデルの実力を引き出せない
    4. 墨モデルが販売されていない
    5. ケーブルが断線した
  6. Pro BTのみ該当のメリット
    1. 非静音の方がタイピングしている感はある
    2. Bluetoothモデルは使用場所を選ばない
    3. 電池式だけど不便はない
    4. 尊師スタイルが快適
    5. 有線モデルと比べても打鍵感は変わらない
  7. Pro BTのみ該当のデメリット
    1. 機動性の高いBTキーボードに非静音スイッチ採用は誰がどうみてもおかしい
    2. たまに接続が切れる
    3. 接続切り替えが面倒
    4. たまに再ペアリングが必要になる
    5. 総評:超お勧め。しかし、買うんだったら・・・

僕がどのようにこのキーボードにたどり着いたか

2018年5月、僕は初Macを手にして、とりあえずタイピング練習をはじめた。タイピングが楽にできればどのパソコン作業のハードルも1段階下がると思ったからだ。そして、タイピングができればインターネット上でのコミュニケーションが快適になる。いいことしかない。そう思って練習を続けてあっという間に1ヶ月が経った頃、毎日見ていた「Apple信者1億人創出計画」でとある記事を発見する。

まだ、使ってないの?HHKBを6ヶ月使用レビュー!「世界一のBluetoothキーボード」

このサイトの管理人でもあるうぉずさんは、購入煽りを嫌う傾向のあるブロガーさんだ。しかし、今回は凄まじい勢いで煽っている。「珍しいことが起こっている」と思い記事を読んだ僕は、衝撃を受けた。ただの入力デバイスのために3万円も払うという考え方がこの世に存在していることに。ただ、ちょうどタイピングを練習していた僕はその考え方に興味を持った。そして、たまたま家電量販店にあったREALFORCE 108UBKを購入した結果、静電容量無節点方式の驚くべき打鍵感によって、あっという間にキーボード沼に引き摺り込まれ、REALFORCE購入後半年でHHKBを購入するのであった。

今回レビューするHHKBのモデル

HHKB Professional 2 Type-S 英語配列/白 購入時期:2019年1月

HHKB Professional BT 英語配列 無刻印/墨 購入時期:2020年5月

HHKB Pro 2 Type-Sには、「HHKB吸振マットHG(Professionalシリーズ用)」を2021年5月に装着しました。それについては後述します。

※2021年6月、HHKB Pro BTにも「HHKB吸振マットHG(Professional BTシリーズ用)」を装着しました。

HHKB共通のメリット

HHKBの完成度は非常に高い。そして値段も高い。だからこそ、購入した後に後悔して欲しくない。だからこそ、メリットもデメリットも隠さず伝えていこうと思う。まずはメリットから。

US変態配列

そもそもこのキーボードを購入第1候補に挙げる人は、かな入力はしないだろう。かな入力をする人は、REALFORCEなどのJIS配列 フルサイズキーボードを購入検討すると思われる。そのため、今回はローマ字入力前提で話をしていく。

僕が所有している2台のHHKBはどちらもUS配列だ。それは、HHKBがもともとUS配列前提で開発されていたこともあるが、他にも大きな理由がある。それがこちら。

ホームポジションから手を動かすというキーボードの概念を破壊する

正直、僕はHHKBのJIS配列モデルに存在価値を感じない(あくまでも自論です)。その理由は、せっかくの60%キーボード筐体の強みを全く引き出せていないからだ。HHKBのJISモデルを購入するくらいならば、REALFORCEの方が確実に満足できると思う。

それは、HHKBのUS配列の圧倒的合理性による快適さが、ホームポジションから手を動かして打鍵をするというキーボードの概念を完全に破壊するからだ。第一、他のキーボードならカーソルキーは独立しているものの、HHKBについてはカーソルキーは独立せず、fnキーとの同時入力によってカーソル入力をするようになっている。他の入力についてもfnキーとの同時入力をするものが多く、その恩恵もあってか、ほぼ全てのキーをホームポジションから手を動かさずに打鍵をすることができるし、後述するデザインもものすごくシンプル。これを使いこなしてからだと、デザイン面でも機能性の面でも他のキーボードが非常にダサく見えるほど。

そもそも、わざわざホームポジションから手を何度も動かしてタイピングすることになんの意味があるのだろうか。動かす必要がないのなら、そのほうが絶対にタイピング疲れがないはずなのに。

Apple製品との相性は最高クラス

2021年現在、これまで発売されてきたキーボードでさまざまなOSでの使用に対応するキーボードはあったが、ほとんどはWindows配列を標準配列として設計されている。ゆえに、他OS対応でもWindows以外のOSでは一部キーが動作しないという製品も多く存在している。

しかし、HHKBは違う。本体に搭載されているスイッチや、PFUが配布しているソフトウェアを使用することで、対応するOS内ではしっかりとキーが無駄になることなく動作する。どのOSの使用でも快適に操作できるように設計されているかず少ないキーボードだ。

しかも、このHHKBはmacOSと特に相性がいい。コマンドキーがしっかり刻印されているあたり、本当に親切だと感じた。

しかも、アクセサリーの一部はMacでの使用を想定して製作されている模様。Mac使用者の方は、こんな記事を読んでいる暇があるならHHKBをとりあえず購入してみる方がいいかもしれない。

UMOUBUTON

HHKBやREALFORCEに採用されているスイッチは、東プレ製の静電容量無接点方式と呼ばれるスイッチだ。このスイッチが凄い。特にREALFORCEに関しては、このスイッチのためだけに高額な料金を払っているようなものだ。

一般的に有名なキーボードのスイッチは、4つの方式が挙げられる。

・デスクトップPCに付属するキーボードや、低価格帯のキーボードに採用されているメンブレン方式

・ノートPCや薄型キーボードでの採用が多いパンタグラフ式

・高級外付けキーボードやゲーミングキーボードでの採用が多いメカニカル式

・最高級外付けキーボードで採用される、物理的な接点が無い静電容量無節点方式

他にも様々なスイッチが存在しているが、やはり長時間連続でタイピングを行うブロガーや作家の大半は静電容量無節点方式やメカニカル式のキーボードを愛用している。しかし、前述したように、デスクトップPCにもノートPCにもキーボードは付属してくる。なぜそれを使わないのか。

それは、高級キーボードの恐ろしい快適性があるからだ。メンブレン方式やパンタグラフ方式のキーボードは、短時間でのタイピングではそれほど問題は出ないが、長時間のタイピングでは手首や指がかなり疲れる。しかし、メカニカル式や静電容量無接点方式のキーボードではそのようなことは起きない。

特に、HHKBやREALFORCEは、特にブロガーや作家から熱狂的な支持を得ている。それは、静電容量無節点方式の唯一無二の独特な打鍵感があるから。その正体はフェザータッチと称される柔らかく、しかししっかりと指を空中に返してくれる中毒的な打鍵感である。

まさに「UMOUBUTON」。指を抱きしめてくれるような感じ。疲れている時に指を優しく持ち上げてくれるし、調子のいい時には高速打鍵をしっかり受け止めて、さらに早く打鍵できるようにスピーディーに指を空中に戻してくれる。

Macにも劣らぬルックス。最強。

HHKBは他のキーボードと大きく違うところがある。それは、キーボードとしての最高級の装備以外は採用されていないということだ。現在発売されているキーボードは、RGBライトなどをはじめ、それほどタイピングには関係ないものが搭載されているものが多いが、HHKBに関しては前述の通りキーの数までもを削ってくるシンプルぶりだ。

これはREALFORCEも当てはまるのだが、他のキーボードと比べると正直ダサく見える。しかし、無駄を省き抜いた武器のように洗練されたデザインは、見慣れてくると他のキーボードより圧倒的に美しく見える。特にHHKBはテンキーは存在しないし、US配列に関しては一般的なフルサイズキーボードの半分ほどのキー数しかない。

特に、HHKBの墨のデザインは最高クラス。僕の墨HHKBは1年使ってきたからか、新品の時と比べて使い込んだ製品独特のオーラまで出てきた。まさに、長く使うともうそれ以外は使えなくなってしまう、本当の意味で洗練された武器のようだ。

※画像は後々掲載します。

HHKBシリーズ自体のコスパは恐ろしく良い

HHKBは現在販売されているHYBRIDシリーズでも約3万円、Type-Sなら約3万5000円と、非常に高い。そして、旧モデルでも2021年現在相場は約25000円。はっきり言ってこの値段を払うなら無印iPadを購入した方が確実に幸せになれると思う。しかし、HHKBはただ高いぼったくり商品ではない。静電容量無接点方式の高い耐久性と高品質な打鍵感がそれ以上のコストパフォーマンスを生み出すという素晴らしいメリットを持っている。

ここからはその耐久性を具体的に表す例を紹介する。

PFUは2016年に発売したHHKBのBluetooth対応モデル HHKB BTに、バッテリー駆動ではなく、どう見ても時代遅れの乾電池駆動を採用した。それは、バッテリー駆動にするとバッテリーの寿命がキーボードの寿命より先になってしまうためという恐ろしい理由からである。キーボードはほぼ使い捨てのように扱われているこのご時世、それに逆行する孤高のキーボードである。そんな耐久性とUMOUBUTONのような打鍵感を持ち合わせているのだから、本当にHappy キーボード沼引き摺り込み Keyboardだ。

現在僕は1日4時間以上PCを使用している。もちろんMacBook ProのバタフライキーボードもiMac付属のMagic Keyboardも使うときはあるが、特別な場合でなければ基本的に2台のHHKBを場合によって使い分けることで、タイピングをより快適な体験としている。そんな快適な打鍵を何年、何十年も楽しめる耐久性と持ち合わせているのだから、3万円の購入料金なんてあって無いようなものだろう。

長時間の高速打鍵は癖になる気持ち良さ

実は、HHKBが届いた初日に何か衝撃を受けることがあるかと言われたらそんなことは一切ない。しかし、何時間も打鍵することで、HHKBの本当の価値がわかる。

実際、僕はキーボードを6台持っている(明らかに僕をキーボード沼に引き摺り込んだのはHHKB)が、長時間作業をしようと思ったときは、ほぼ100%HHKBかREALFORCEを手に取る。

静電容量無接点方式の特徴には、長時間タイピングでまさに「人機一体」のような、キーボードが体の一部になったような感覚に陥ることが挙げられる。

実際、僕はYoutubeのチャットやブログ執筆など、PC関連の事情が重なり、1日2万文字近くタイピングした日が何度かあったが、その後に思ったことは「あぁ。。。楽しかったv( ̄∇ ̄)ニヤッ」ということだけだった。HHKBは、長時間のタイピング作業を、退屈な時間ではなく、最高の超快適タイピング体験にしてくれる数少ないキーボードなのだ。大袈裟な話かもしれないが、よそ見していても指を動かしているだけでディスプレイ文字が浮かびあがるような感覚なのだ。正直、慣れないときは恐怖を感じたが、今となってはこの感覚なしでは長時間タイピングなんてできない。

PCが身近になってきた近年、1日10時間以上PC作業をする人もいるのに、そんな人たちが静電容量無節点スイッチ搭載キーボードを高いからといって購入しない事の意味が全くわからない。そう僕が言えるのは、やはり、あの衝撃の打鍵感と、後述する楽器のような打鍵音を体験しないなんて、せっかくのタイピング時間がもったいないとまで豪語できるタイピング体験を毎日、この記事を書いている瞬間にも堪能しているからだ。

当たり前だが全然疲れない

快適だけどやっぱり疲れる。なんてことを許さないのがHHKB。スイッチだけではなく、キートップや、キーボードの傾斜までも拘って製造されている。公式サイトいわく、「すべてのキートップ面を中央方向に向けた「シリンドリカルステップスカルプチャ」、3段階のチルト切り替えでキーボードを好みの角度にできる「傾き調整機能」、耐久性に優れる「サブリメーション印刷」など、ディテールもプロ仕様。」とのこと。

究極のタイピング体験のためには細部にも妥協しない。そんなメーカーの思いを感じられる。

静電容量無節点方式の独特な打鍵音

強烈なリラックス効果のある静電容量無節点方式スイッチの打鍵音。これは打鍵感と並び、「人機一体」のような究極のタイピング体験を実現するために絶対に必要な要素となっている。

僕は、キーボードの打鍵音動画をよくみたりする。前述の4つのスイッチだけではなく、他にも様々なスイッチが存在するが、実は一番開いてしまうのはなぜか手元にあるREALFORCEやHHKBの打鍵音動画。もうここまでになると気持ち悪いかもしれないが、それほど魅了的な打鍵音なのだ。

※動画は後々掲載します

よくキーボードの打鍵音を「カチャカチャ」と表現するが、静電容量無節点方式スイッチには、「カチャカチャ」の音に「スコココ」という音が重なっているように聞こえる。このなんともいえない打鍵音が使用者をタイピング中毒にしてしまうのだ。

60%キーボードの軽量さ

他社製高級キーボードの重量が軒並み1kgを超えてくる一方、HHKBは約500gと約半分。配列が異常なだけに、外出先でもこの配列が使いたいとなる確率はかなり高いと思うが、PCバッグやリュックを使用するなら500gの持ち運びは負担にはならないと思う。他の高級キーボードより小さく軽いことによって自宅のデスクでも省スペースで使えて、外出先にも持ち運べる可能性があるなら「この変態配列を時間をかけて慣れてみてもいいかな?」と思う人も多いはず。

場所を選ばずに究極のタイピング体験ができる数少ないキーボードなのだから、高級キーボードの恩恵を最大限に享受したい人には是非お勧めしたい。

究極の理念

「最高の理念がない会社に精密なガジェットを、生活を変えるようなガジェットを作れるはずがない。」僕はそう思っている。だからこそ、HHKBというキーボードをさらに評価できる。その理由となる言葉がこちら。

アメリカ西部のカウボーイたちは、馬が死ぬと馬はそこに残していくが、どんなに砂漠を歩こうとも、鞍は自分で担いで往く。

馬は消耗品であり、鞍は自分の体に馴染んだインタフェースだからだ。

いまやパソコンは消耗品であり、キーボードは大切な、生涯使えるインタフェースであることを忘れてはいけない。

Happy Hacking Keyboard 公式サイトより

これは、HHKBの開発に大きく関わっている東京大学 名誉教授 和田英一先生が、HHKBの初回ロットを手にした際、技術者たちに贈った言葉である。

考え抜かれた設計によって、どんな場合でも、どんな場所でも快適な打鍵が可能になる。実は、他のキーボードと比べて、HHKBはアクセサリーも充実している。それは、いつでもどこでも究極のタイピング体験をできるようにするためだろう。

アクセサリーが充実している

HHKBを語る上で絶対に欠かせない話題がこれ。HHKBは前述した通り、アクセサリーが充実している。2021年現在、他の高級キーボードではアクセサリーが1つも販売されていない製品も多いが、HHKBには、様々なアクセサリーが存在している。

有名なのはパームレスト。さまざまな素材のモデルが存在しており、HHKB純正アクセサリーのメーカーでもあるBIRD電子製のパームレストには、なんと約15000円のモデルも存在している模様だ。

HHKB用革張ウッドパームレスト WP-HHK2-LB

ちなみに、「Apple信者1億人創出計画」でもレビュー動画がアップされている。

他にも、キーボードルーフ、キーボード吸振マット、マウスパッド、キーボードケース、キートップセット、ケーブル、スタンドなど、至れり尽くせり。一度HHKBと相性抜群のアクセサリーを手に取ったら、もう他のキーボードには戻れない。まさに、HHKBは「生涯使えるインターフェース」なのだ。

そして、気になるのは「HHKB Tシャツ」なるもの。ここまでくると笑えるレベル。これはHHKBが愛せるキーボードであるからこそ、認められる製品なのだろう。

アクセサリーに興味を持った方はこちらからどうぞ↓もちろん、HHKBをすでに使用している人にも超オススメ。

HHKBオプション PFUダイレクト

バード電子のオンラインショップ

疲れてる時に指を抱きしめてくれる

「もう疲れた。今日は何もしたくない。」人間である以上、体調は変化するし、このような日は誰にでも存在する。

しかし、こんな日に裏切らないのがHHKB。REALFORCEもそうだが、静電容量無節点方式キーボードは、疲れている時こそ触りたくなる。指を置くだけで「スコン。。。」と入力される感じは、他のキーボードにはない超感覚を生み出す。

視界に入るとタイピング欲がMAXになる。とりあえずHHKBを叩きたくてしょうがなくなる。僕の場合は、視界に入ると衝動的にエアータイピングをしたくなってしまうくらいなので、それほどキーボードを叩く必要がない日にはできるだけ別のキーボードを使用している。永遠にタイピングしていたい。タイピングが楽しい。そんな体験ができるのはHHKBオーナーの特権だろう。

HHKB共通のデメリット

ここまで絶賛してきたHHKBだが、完璧な製品ではない。長所があれば短所があるのは当然のこと。ここからは、長期使用で見えてきたデメリットをお伝えしていく。

US変態配列 JIS配列も含め慣れるまでかなり時間がかかる

メリットでも説明したが、HHKBはホームポジションから手を動かすことなく打鍵することができる。しかし、そんなHHKBの配列に慣れるまではそれなりの時間がかかる。僕の場合は購入当時タイピングに慣れていなかったこともあり、慣れるまで2週間ほどかかった。しかし、その後は、どんどんとタイピング速度が上昇して、1ヶ月経過した頃には、HHKBが所持しているキーボードの中で一番早く打鍵できるキーボードとなっていた。

正直、HHKBに慣れることによって何年も究極のタイピング体験ができるのだから、そのうちのたった2週間程度をどうこう言っても仕方がないような気がする。ただ、気になる人もいると思うので、デメリットとして挙げた。

無印iPad並みの価格

キーボードに約3万円というのは、やはり納得し難いところがあると思う。1台購入すれば、その価値は十分以上にわかることだが、購入前にかなり迷う点であることは確かである。

Magic Keyboard等のパンタグラフ式モバイル特化キーボードと比べると重いしデカい

他の高級キーボードと比べれば、小さく軽量なのだが、流石にモバイル特化のキーボード(パンタグラフ式に多い)と比べると、機動性は劣るような気がする。

多少軽いか、重くてもタイピングが快適かという選択になるが、僕の場合、基本的にはタイピングの快適性を重視する。しかし、持ち運びがストレスになる可能性がないわけではないので、デメリットとして挙げた。

無刻印モデルには、タッチタイピングだけではなく勘も必要かも

無刻印モデルは、まさに究極のHHKB。選ばれしものにしか使いこなせない一品である。

実は、タッチタイピングができるのなら無刻印モデルを購入してもそれほど問題はないのだが、落とし穴がある。それが、数字や記号の入力。

アルファベットキーの入力はキーを見ないでできる、日常的に使う記号キーなら見ないで入力できるという人ならそれほど不便ではないが、数字の入ったパスワードの入力、使用頻度の少ない記号の入力などは、多少の慣れや勘が必要だと感じた。

パームレスト必須

HHKB初めストロークの深いキーボードは高さが結構あり、パームレストがなければ手首の角度は罰ゲームのような状態になる。これではいくらキーボードが快適でも手首がガッツリ疲れて意味がない。

そのため、手首の位置を高くし、程よいグリップ感でサポートしてくれることによって、キーボードの全てのキーに指を楽に運べるようにすることで、長時間のタイピングによる手首や指の負担を軽減することができるアクセサリーであるパームレストはほぼ必須となる。

僕はBIRD電子(HHKB純正)のウッドパームレスト(ウォールナット)、セパレートウッドパームレストを使用している。純正だけにHHKBと相性がよく、ウォールナット素材も好み。

REALFORCEとコラボもしているのだから、、、

HHKBは種類が少なくシンプルな選択肢であることが特徴。一方、同じスイッチを採用しているREALFORCEは様々な押下圧、静音・非静音、スイッチのオン位置を調節できるAPC(アクチュエーションポイントチェンジャー)機能の有無など様々なモデルが用意されている。

そして、HHKBとREALFORCEはコラボモデルも存在している。

REALFORCE R2 「PFU Limited Edition」

それなのに、HHKBに鉄板搭載モデル(REALFORCEのような据え置き特化)が存在しない上に、押下圧オプション、APCオプションも存在しない。

東プレとPFUはコラボをしている上に、現在は高級キーボード自体の知名度も飛躍的に上昇しているので、キーボードマニアでも初心者でも満足できる多様なラインナップの用意が期待される。

中毒性が高すぎてストレスになる場合がある

できるだけHHKBを使おうと思っていても、使えないシチュエーションもわずかには存在する。その時が本当にストレス。

たまにHHKBを使うのを忘れたり、他のキーボードを使いたくなったりするが(僕がキーボードマニアだからかもしれないが)、作業を初めて少し時間が経ったあたりで、じわじわとストレスを感じるようになっていく。

カーソルキーを叩き間違える→少し違和感を感じる→スペースキーが狭い→若干ストレス→Enterキーが遠い→かなりストレス→Ctrlキー入力したと思ったらCaps Lockが入力される→あぁぁぁぁ!!!!叩きづらいぃぃぃ!!!HHKB取りに行こう(´;ω;`)ブワッ→基本的にテンション回復、しかしたまにHHKBが近くにない→今日はもういいや(。´・ω・`。)ショボン

ほぼ確実にこのような状況になる。キーボードオタクなので他のキーボードを触りたい時があるのに、様々なキーボードを叩くのが好きなのに、結局はHHKBが叩きたくなってしまう。これが、究極のキーボードを見つけることのデメリットかもしれない。

これはHHKBの完成度の高さが裏目に出るポイントかもしれない。キーボードオタクの方は要注意。さらに、その中毒性によって、とある恐ろしい状況に陥ることになる。それがこちら。

100%の確率で沼に投げられる

そもそもHHKB自体だけでも約3万円と非常に高いが、その中毒性のために家でも外出先でもさらに使いこなそうと自然に思うようになる。そのため、アクセサリーは最終的にほぼ全部買うことになるものと考えて欲しい。

そして、HHKBは5年に1度くらいの頻度で新モデルが発表されるが、購入者とHHKBの相性が良ければ、5年に1度の3万円程度の高額な出費など怖くなくなってしまう。その面では、新モデルが発売されるたびに、たかがキーボードの僅かな快適性向上のために約3万円の出費をするということになる。

「3万円で済むから」と思ってHHKBを購入すると、異常な中毒性によって、キーボードに対する金銭感覚が完全に麻痺する。他にも買いたいものがある人は要注意。しかし、究極のタイピング体験によって、タイピングが楽しくなるし、タイピングが楽しくなれば、PCを触るのも自然と楽しくなる。こんなことは他の製品にはできない。そう考えれば、それほど高くないとも言えるが、キーボードをよく知らない人からすると、恐怖を感じるデメリットかもしれない。

よく「Apple信者」を代表するように、その企業や製品の熱狂的ファンを「信者」という。そして、HHKBはキーボード界では珍しく、「HHKB信者」というものも存在する。それは、HHKBの非常に高い完成度と、一度使ったら抜け出せなくなる中毒性があるからこそ。

わずかに黄ばんできている?

よく言われる話だが、白モデルには黄ばみが出る。

僕の白HHKBは2019年の1月に購入したが、2021年5月現在、最初に買った時と比べると、本体が少し黄色くなってきたと感じる。僕としては、長い時間使っているからこそ出る味と捉えているが、黄ばみが心配な人は、白モデルよりも墨モデルの購入検討をした方がいいかもしれない。ただし、墨モデルはキーの印字が見ずらかったりするので、一長一短でもあると言える。

振動対策は必須

HHKBの重量は500gと、REALFORCEの約半分。しかし、REALFORCEのようにキーボードに鉄板がないため、モデルによってはキーボード自体が滑ってしまうし、タイピング時の振動音も大きいことがある。

その場合、大型マウスパッドや、アクセサリーのキーボード吸振マット、さらには静音モデルへの変更など、さまざまな対策が使用者にも求められる。対策が一番必要なのは、HHKB Proの旧有線モデルだが、これについては後述。

Pro 2 Type-Sのみ該当のメリット

ここからは、Pro 2 Type-SPro BT、どちらかのみがもったメリット・デメリットを伝えていこうと思う。まずはPro 2 Type-Sのメリットから。

※このメリット・デメリットは非静音の有線旧モデルも該当する箇所があるので、非静音の有線旧モデルの購入検討をしている人にも目を通してもらいたいと思っている。

静音モデルは最高に静か

静音モデルはかなり静か。そして、キーのブレがなく、高速打鍵もしやすい。手応えが感じにくいというデメリットはあるものの、慣れた時のタイピング速度や快適性は非静音モデルよりも確実に上。また、静電容量無節点方式独特の「スコココ」という打鍵感・打鍵音は、静音モデルの方が感じやすいと思う。高速タイピングに興味がある人・すでにできている人は、迷わず静音モデルを購入するべき。

USB-Aポートが2つある

無線対応モデルで乾電池収納のスペースとなっている部分に、有線のPro 2モデルではUSB-Aポートが2つ備わっている。僕の場合はそれほど使わないが、USBポートはいくらあっても足りないという人がいるため、メリットして挙げた。ただし、認識されないものも多いので、期待はしすぎないように。

Pro 2 Type-Sのみ該当のデメリット

現在新品で販売されているHYBRIDシリーズではこのデメリットは1つも当てはまらない。しかし、格安中古や旧製品セールなどで見かけるものは有線旧モデルであることが多いので、できるだけ目を通してもらいたい。

裏面のゴム面積が小さすぎる

HHKBのゴム面積は、2016年に発売されたProfessional BTまで非常に小さかった。そのため、BT以前のモデルはタイピング中にキーボード自体が動いてしまうし、打鍵音にも筐体のガタガタ音が混ざってしまうことも多く、場合によってはストレスになる。そのため、、、

吸振マットとパームレスト必須

実は、HHKBのゴム面積の小ささは、HHKB純正の吸振マットにより簡単に対策ができる。振動が減り、剛性も上昇するため、打鍵感・打鍵音ともに1ランク上のものとなる。しかし、この吸振マットの厚さは3mm。そう、キーボードの高さが上がってしまうのだ。ストロークの深いキーボードはもともと高さがあるが、それがさらに3mmも高くなってしまう。そうなると、タイピング時に手首の角度もさらに無理ができてしまうため、パームレストも必須となってしまう。

見た目はお買い得に見える有線旧モデルだが、僕は誰にもお勧めしない。理由は、有線でもともと機動力が低い上に、吸振マットとパームレストがほぼ必須で、実質的購入料金が最新のHYBRIDモデル並みに高くなってしまうため。

※ちなみに、吸振マットの値段は2970円、パームレストの値段は4400円。なので、有線旧モデルを買う場合、もともとこの値段をプラスしての購入検討をお勧めする。

静かな場所で本当の実力を発揮できる静音モデルの実力を引き出せない

有線モデルは、Bluetooth対応モデルと比べると対応OSも少なく、ケーブルも必須なため元々機動力が低い。また、先程のことから考えると吸振マットとパームレストも必須。そうなると、厚さが3mm厚くなった有線キーボードとパームレストが1セットとなるため、持ち運びは絶望的。

そうなると、静かでなければならない場所、例えばカフェ・図書館などでは使用できない。つまり、静音・高速打鍵のうちの静音の方の利益はあまり享受できないということになる。これは困ったものだ。吸振マットとパームレストなしでは筐体のガタガタ音もうるさいため、これも微妙。

持ち運び想定、かつ静かな場所で使う予定もあるなら、最新モデルのHYBRID Type-Sをお勧めする。

墨モデルが販売されていない

実は、Pro 2 Type-Sに墨モデルは存在していなく、白モデルしか選べなかった。墨モデルの発売は長い期間待ち望まれていたが、2019年のHYBRID発売まで実現されなかった。

そのため、Pro 2 Type-Sを購入する場合には、確実に白モデルを選ぶこととなる。しかし、前述した通り、白モデルは長期間の使用で黄ばみが出る場合がある。長期間の使用による本体の黄ばみが嫌なら、このモデルの検討はやめた方がいいと思う。

ケーブルが断線した

実は、2020年の1月に、REALFORCE 108UBKとHHKB Pro 2 Type-Sがほぼ同じ時期にケーブルが断線した。REALFORCEの購入時期が2018年9月、HHKB Pro 2 Type-Sの購入時期が2019年1月であることを考えると、家の中での持ち運びをした場合のケーブル断線は約2年に一度起こることになる。

ケーブルの修理料金は大体2000〜3000円。2年に一度の頻度でこの料金を払わなければならないと考えると、10年の使用では10000円を超えることとなる。せっかく高いキーボードを買うのだから、ケーブルでストレスにならないように、できれば無線モデルを選んだ方がいいと言える。

しかし、たまたまケーブルが外れだった可能性もあるため、この辺りも含めこれからも長期レビューをしていこうと思う。

Pro BTのみ該当のメリット

ここからは、Pro BTのメリット・デメリットを紹介していく。まずはメリットから。

非静音の方がタイピングしている感はある

先ほど、静音スイッチを絶賛した僕だが、実は非静音スイッチにもいいところは多い。打鍵音も大きく、キーのブレもあるが、それがいいと言える。

今、良いキーボードを叩いている。楽しい。もっとタイピングしたい。

というテンションアップ効果は、非静音モデルの方が得られると思う。いい例にメカニカルキーボードが挙げられる。メカニカルキーボードは打鍵音も非常に大きく、キーのブレも静電容量無節点方式より多く、疲れやすい場合もある。しかし、メカニカルキーボードのファンは、メカニカルキーボードでなければタイピングしたくないとまで言う人が多い。それは、メカニカルキーボード独特の打鍵音や打鍵感が好きだから。

静電容量無節点方式の静音モデルは、確かに完璧と言える。しかし、「完璧でないからこそ楽しい」という部分があることは、キーボードでも同じであることを忘れないでもらいたい。

Bluetoothモデルは使用場所を選ばない

HHKB BTはBluetooth接続モデルだ。ペアリング時の面倒さを除けば、ケーブルも必要ないため持ち運びもしやすく、PCだけではなくスマホやタブレットで接続できるため、有線モデルよりも快適だと言える。

「スマホやタブレットで、本体より大きいキーボードでタイピングするかい!」と言うツッコミはさておき、デバイスを選ばずHHKBを使用できるということは、HHKBの良さを最大限に享受できるということ。それがしやすいBTモデルは、まさに理想のHHKBであることは間違いない。

電池式だけど不便はない

前述したが、HHKB BTは完全に時代遅れの単3電池駆動である。それは、バッテリー駆動にするとバッテリーの寿命がキーボードの寿命より先になってしまうため。

ここで「単3電池は手に入れやすいけど、電池を1年に何回も交換するの、めんどくさくない?」という疑問が起こる。しかし、心配する必要はない。HHKB BTは、一度の電池交換で約3ヶ月使える。実際、僕も信頼できないので数えていたが、購入1年経ったHHKB BTの単3電池交換回数は3回。この情報は嘘ではなさそうだ。

尊師スタイルが快適

HHKB BTは、有線モデルとは違い尊師スタイルが快適。有線モデルだと、ケーブルがディスプレイに干渉して非常に使いにくいが、無線モデルにはもちろんケーブルはないので考える必要はない。気軽に快適に尊師スタイルをしたいと考えているなら、絶対に無線モデルがお勧め。

有線モデルと比べても打鍵感は変わらない

同じキーボードでも無線モデルと有線モデルの打鍵感・打鍵音が全然違うという場合もよくある。しかし、HHKBは違う。無線モデルでも、有線モデルと全く変わらない快適なタイピングを可能としている。有線モデルでも無線モデルでも究極のタイピング体験ができるというのは、流石HHKBだと思う。

Pro BTのみ該当のデメリット

ここからは、Pro BTのデメリットを紹介していく。実はせっかくの機動力が台無しになるようなものばかりだ。これから紹介するデメリットが我慢できない人はPro BTの購入はやめた方がいいと思う。

機動性の高いBTキーボードに非静音スイッチ採用は誰がどうみてもおかしい

無線モデルのHHKB BTは、使う端末を選ばず、機動力が高いのが一番の長所だが、なぜか静音モデルは存在しない。非静音モデルはそれなりに打鍵音がするため、静かでなければならない場所では使用できない。

最新のHYBRIDモデルでは静音モデルが選べるので、静かな場所で使う可能性が1%でもあるなら、BTではなくHYBRID静音モデルの購入をお勧めしたい。

たまに接続が切れる

Bluetoothが不調な時に、接続が切れることがある。大体数秒程度で回復することが多いが、タイピングに集中しているときの接続トラブルは、大きなストレスになる可能性があるため、これはかなり大きなデメリット。

接続切り替えが面倒

4000〜5000円程度のBluetoothキーボードがデバイスとの複数接続・切り替えに対応しているが、HHKB BTは対応していない。これも最新のHYBRIDが対応しているので、もしも切り替えでストレスを感じたくない場合は、BTではなくHYBIRDの購入をお勧めする。

たまに再ペアリングが必要になる

HHKB BTは接続先が4つまで記憶されるが、たまに記憶させたデバイスでも再ペアリングが必要になる時がある。この症状がHYBIRIDモデルで起きるかどうかは定かでないが、急にこの症状が発生してパニックになることが嫌なら、とりあえずBluetoothの性能が向上しているHYBRIDを検討することをお勧めする。

総評:超お勧め。しかし、買うんだったら・・・

正直、HHKB自体は超お勧め。しかし、もしHHKBであることのメリットを最大限に享受したいなら「Happy Hacking Keyboard Professional HYBRID Type-S 英語配列」しかお勧めできない。

なぜ、セールなどで安くならない最新モデルの、しかも最上級モデルを勧めるのか。理由は簡単。「旧モデルが一長一短であるために、使えば使うほどデメリットが目につく」からだ。

こんなまとめになってしまい申し訳ないが、もしも中古やセールを利用し、今回レビューしてきた2台を購入するとしたら約5万円かかる。しかし、この2台の欠点がほぼないHYBRID Type-Sなら約35000円。2台の長所を持ち合わせ、デメリットがかなり少ない最上級モデルを買って、快適にタイピングを楽しんで欲しいと思っている。

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